写真家として彼が活躍したのは1940年代。まだ一眼レフもない時代。動く被写体を自由に捉えるライカが登場するのはもう少し後の時代で、コフィンの生きた時代は”ローライフレックス”などの二眼レフ全盛時代だった。当然彼も6×6cmのロールフィルム撮影が多かったと想像できる。
”ヴォーグ”やアメリカのファッション雑誌を飾った彼の作品は、一般からの評価より同業のプロカメラマン、デザイナーたちからの評価の方が高かった。
それはなぜだろう。彼の作品群を観ているとその表現に通底する「存在の苦悩」や「悲しみ」を、そのまま隠さず活写しているからかもしれない。普通は選ばない捨てカットが、作品に昇華している。それを可能にさせる中型カメラの「動感表現」力を彼は存分に使い切っている。
そんな巷の評価にもなんの関心も示さず仕事に勤しんだコフィンが素敵だ。