向田邦子があの忌まわしい航空機事故で亡くなって41年。彼女の忘れなられない名作は数々あるが、意外や彼女の小説作品は読んだことはなかった。テレビドラマ全盛時代を支えた名原作者であったことで満足していたのかも知れない。
作家の実妹・向田和子が航空機事故の数年後姉の生活を語ったエッセイ「向田邦子の恋文」(2002年刊)。おそらく最初で最後だろう作品。
読んで衝撃を覚えた。ネタバレはいけないのでここでは割愛しますが、まず表紙の写真が素晴らしい。抱いていたイメージと全く違う、あのような表情の未公開写真に衝撃を受けたのを覚えている。恋愛する暇もなかったはずの彼女の一面を垣間見て、「人間捨てたもんじゃない」そう思って救われた。
彼女が生きていたら92歳。あの名ドラマをもう一度観てみたいものだ。