漢字学者白川 静氏の漢字解説本。
まず手に取って「編集について」を読みだせば、いきなり強烈な一節から始まる(以下太字は抜粋)。あからさまに冒頭からGHQを批判する書は他に知らない。
敗戦間もないころ、我が国を占領した連合軍が漢字の制限・廃止を求めてきた。(中略)当用漢字の告示は、当時の日本政府がその要求に応じたもので、(中略)そもそもこのような政策は、歴史上にかつてその例を見ないものである。
漢字の起源を知ろうと、僕は気軽に買ったわけだ。戦後の当用漢字世代だから、当然のように規制を受け入れてきたが、たったの1850文字に制限をかけられた漢字表現枠が、実社会では通用しない不思議さも知っている。
氏の漢字研究は、日本文化を守るための戦いの軌跡である。どのページを開いても、漢字の成り立ちと実生活の文字文化がが深く結びついていたことに驚く。おもわず「なるほど!」の連発になること請け合い。