「哲学者クロサキの写真論」黒崎政男著

以前にもご紹介したがここで改めてまとめたい。初版は2001年10月。この本を手に取った当時の僕は、社内で撮影から仕上がりまですべてをデジタル化完了させた頃。ところが取引先やスタッフからも「デジタルなんか使えない」、「費用が掛かりすぎる」など、さんざんに言われた。孤立無援に泣いた。社内に救いの話はなかった。その苦しい気持ちをこの本は救ってくれたと言ってもよい。はっきり言ってこの書は冒頭「はじめに」を読むだけでよい。救いの言葉が散りばめられている。そして掲載されている「作例写真」が秀逸。

デジタル化に当たって唯一の理解者、相棒がいたことも忘れてはならない。彼と二人で膨大なノウハウを築き上げた。PC・カメラの選定、カラーマネージメント、撮影データの構築、プリンターの運用などフロー全般を半年で作り上げた。当然、次から次と問題が発生したが、あの不退転のエネルギーはどこから湧いていたのだろう。いまだに不思議でならない。

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