この石造りの椅子を見てほしい。これが美術館地下トイレ前だから驚く。実際我々は歩き疲れていたので座りたかったが、その存在感に圧倒されてとても座れたものではない。現代アートの最大拠点「グッゲンハイム財団」の運営する美術館は寄付と地元自治体協力で成り立っている。

近現代美術の収集で他を圧倒するが、創始者で鉄鋼王のソロモン・R・グッゲンハイムはこの美術館に、価値が定まらない製作物を集め未来に投資した。未来の評価を自らの手で生み出す意気込みとでもいうか、類を見ないビジネスモデルだ。一見意味不明な創造物にも命を吹き込んできた功績はすさまじい。