たまたま写ったというべき、この写真。雪降る駅のホームに佇む女性の背中が印象的だ。これは山陰本線で島根に向かう列車の窓から撮ったもの。駅名は思い出せない。1976年のことだ。何のあてもなく、カメラを持って漂うように旅をした。
この時期、夢遊病者のように徘徊していた。ただカメラを持っていたのが救い。不審者になり切っていただろう。民宿の女将以外言葉も交わす必要がなかった。自分がナニモノになるのかを探して歩いた。ようやく思い知ったこの頃。結局、何者でもなかった。もう充分。なにも探さなくても。
長い旅を経て、いまここにいる。これまでにたくさんの人と人の間を、すり抜けて来たような気もする。いま出来ることなら、すり抜けて来た人に再び会って、感謝を伝えたい。
