創立1896年の新潮社。一般向けの「新潮講座」を受講すれば凄腕の編集者や校正者に会えるわけで、どんな世界が待っているのか興味津々。数あるカリキュラムの中から上田恭広氏「ヨム・カク・ミル・シル」に参加した。
神楽坂会場はすでに空席が見つけられないほど、50人以上がぎっしり。生徒は圧倒的に女性が多く、彼女たちの熱気にたじろいだ。中には講師に対して自らアピールするかのような質問をぶつける手ごわそうな自信家もいる。この講座で育ちデビュー作を発表した参加者もいるからみな真剣だ。
講座では毎回課題提出がある。いま書き進めている自作を10ページ分だけ提出すること。後日講師の先生から添削が戻ってきた。先生はきっちり全員の原稿を精読し、赤ペン添削して返してくれる。月に一度とはいえ、全員の原稿を読むだけでも大変。驚くべきスピードだ。
僕の原稿に対しては「あなたの小説はリアリティが非常に高い。自分の専門領域(写真)を生かしている」と。また「『体言止め』は小説に向かない」などかなり細かく、いたるところに書き込まれていた。
日本語を愛する専門家からの指摘は、僕にとって神の言葉に等しい。