初の平成生まれで2020年芥川賞受賞作家。氏の父親はロックバンド”BUCK-TICK”のボーカル。素晴らしい経歴の持ち主。作風は「新時代の虚無」ともいわれている。
この作品は冒頭から---途中で投げ出しそう---とも思いながら読み進めるうちに、意外にも形容詞・句などを意識的に省き、シンプルでスピード感ある文体に気付き引き込まれていった。新たな表現力を感じた。
平成世代が今後文壇を引っ張っていくわけだから、僕も意図的に若い作家を読もうとするのだが、すこし無理をしていたようだ。読後感は(爽やかとは)言えないが、「これもあり」だと思うことにした。