神戸・芦屋

かつて在籍した写真学校の話。そこでは2年間毎月テーマを与えられ、苦しみの2年間を過ごした。

「神戸」という課題が出た。神戸をあなたはどう感じるか。

そのころの僕は(神戸人はハイカラさんで特別な暮らしをしている)。そんな根拠のないイメージを持っていた。

講義のない休みをすりつぶして、雨の中を当てもなくカメラを携え歩く。しばらくすると神戸生協の宅配サービスに出会う。この町に存在する共同購買組織だということは知っていたが、個別宅配が行われており、やはり神戸は当時から先進地域であった。個別配送の理由は歩けばわかる。坂道が多く、買い物が大変だから。

歴史的にみても神戸は街道の中継地点であり、港湾は早くから発達していた。もっと遡れば温暖な地球環境を迎える縄文時代に、すでに神戸はかなり高度な文明を謳歌している。

瀟洒な邸宅が並ぶ芦屋の街

いずれのカットも1974年撮影

坂道も多いが路地も多い

現在は不便な山沿いの住宅地を離れ、海岸通りのマンション移住者が後を絶たない。数十万人規模で山寄りから海寄りに大移動している。阪神神戸淡路大震災がひとつの契機になった。

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