作家・小手鞠るい

何気なく手にした作品。内容は退屈だったが読み進めていくうちに、作家としての表現技術の高さがこの作品を支えていることに気付く。

数人の女性の日常にスポットを当て、クロスカット技法などを巧みに利用して話を進めていく。視点が変わるため、絶えず読者に緊張感を提供している。プロの技だ。

登場する女たちの何と自分勝手なこと。恋愛感情を自ら制御しようとするが、感情は内面で揺れ動く。それでも女性だけの性に溺れたりもする。いま戦争の世紀に直面しているというのに、

(こんなの読んでられない)と嘆きながら最後まで読んでしまった。

作者と幻冬舎の勝利。

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