小川洋子著「海」

氏の作品「博士の愛した数式」は超ベストセラーだった。登場人物は二人だけで、あれほどの世界観を構築する実力に脱帽した。

今回は彼女の短編集です。表題の「海」が冒頭に登場する。ほか6編の短編集。

評論家でもない僕が勝手なことは言えないが、「読点」の使い方が特徴的な作品です。読みやすさを重視しているのでしょう。

作中、読点をその行の終わりにして、新たに改行するなどのテクニックがちりばめられており、同様の作品を他で読んだことがありません。

また、作家の真骨頂ともいえる情景描写や心理描写の形容句にも達人と言える「気品」を感じます。

読後、これは随筆では? とも思われたが、

王者の貫禄に、ただただ感服するしかなかったのです。

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