近藤孝二画伯

私の最も愛する絵画作品をご紹介します。特に下の作品「青のシリーズ」はゴッホを上回ると感じています。

ゴッホの画業は自殺までの10年しかない。いまだに新たな作品が発見されている。ここにご紹介する近藤孝二画伯(元陽展招待作家)は先年59歳で亡くなられた。無類のコーヒー好きで、そのせいか普段は苦みばしって、表情を変えることの少なかった彼が目を見開き真剣な面持ちで語った一言、

「俺は生涯一万点は描くぞ」

執念を語っていた。しかし病のため寡作となり、死後諸作品は散逸してしまいました。私は特に懇意にしていただき、元陽展に出品する際には必ず作品の複写を依頼された。

アトリエ兼理髪店では自慢の珈琲を淹れながら、画壇の話から宇宙論に至るまで博識多才ぶりで、話題は時に深夜にまで及ぶ。ふたりで山陰地方へスケッチ旅行に出掛けたときのこと。数日間、車中で話題に花開き、ついに一度もスケッチする素振りも見せませんでした。ところが旅行から帰って一週間後、

「出来たぞ!」

と電話をいただきました。そして見せられたスケッチブックには、20ページにわたって車中から目にした景色が忠実に描かれていた。まさしく天才の記憶力に舌を巻いた瞬間だった。描かれた景色のどれもが、説明を聞かずとも理解できた。

「伊根町の港だ。これは能登、こっちは丹後の街並みだ」

丹波にて

「愛の調べ」

師の作品はとても癖が強い。ジャンルにこだわらない。既定の価値観にとらわれないが、科学者のような分析力で新たな作品の構想を練ることも多かった。

「今度はフレスコ絵具を使ってキャンバスにどう色を留めるか研究してみる」

そう語ってわずか1週間で「愛の調べ」を完成させたりと、武勇伝数限りない。私は冒頭のブルーのポートレート作品が一番好きで、秘蔵品は手元に持っている。しかし手に出来なかった「レモンをかじる女」作品が恋しい。誰が持って行ったのやら。

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