出版は2020年6月。いつもながら周回遅れで手に取った。著者川上博美は「センセイの鞄」以来、何冊も手にしてきたが、惚れこんでみたり、理解できなかったりの繰り返し。
本文の内容をここで明かすことはできないが、「あとがき」を担当された種村季弘氏の、解説文に僕は唸った。
あとがきは最後に読むのではなく、最初に読む。しかしピンとこない場合は、数十ページ読み進めてから開くことが多い。時には作品本体よりも優れた一文を目にすることがある。以下、太字が種村氏の一文です。
ここら で 引き返す か、 それとも ここ まで き た の だ から いっそ 溺 レ て しまう か、 それ は まあ 御用 と お 急ぎ で ない 読者 各位 の おぼしめし 次第。 人生 と 同じ こと です。
川上 弘美. 溺レる (文春文庫) (Kindle の位置No.1697-1698). 文藝春秋. Kindle 版.