神田の名店「藪蕎麦」

山手線神田駅から歩いて10分ほど。御茶ノ水駅から歩くほうが近いかもしれない。偶然見つけた行列に並んでみた。運よく待ち時間30分で席に付けた。客席は100席はあるだろうか。出された麺は正統派信州そばで、品のあるうぐいす色。蕎麦好きも納得できる。つい、2杯目のお代わりをしてしまった。

さて勘定を払おうと席を立ったがまず、手許に伝票が来ていない。店の一番奥、つまり出入り口から一番遠いところにレジ係が待ち構え、伝票はそこで管理されている。すでに支払いの順番待ちの列ができていた。向こう側にはレジ係の老夫婦が陣取っている。客席を一堂に見渡しながら、料理出しから配席までのすべてを目配せし、まるで大相撲の「呼出し」のような声で、従業員に指示を出している。明らかに経営者夫妻だろう。重ねた経験が滲み出ている。信頼感の厚みというのか、その奥に老舗の気迫を滲ませていた。

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