友人T君は元海上自衛隊員。彼の同僚で、同じ元自衛隊員M君が硫黄島に赴任した時の話を伝え聞いた。隊員宿舎では「毎夜、すすり泣く声が聞こえる。もう慣れっこになってしまった」というのである。80年前に玉砕した兵士たちの怨念(魂の叫び)がうめき声となって聞こえるのである。日本人が今ここにあるのも、彼ら守備隊員の命と引き換えである。
日本陸軍硫黄島守備隊(海軍警備隊、設営隊も含む)は米軍による本土空爆を少しでも遅らせるのが使命。絶海の孤島で食糧・物資もない中、1か月半にわたる戦闘で2万人を超える日本軍守備隊員が散っていった。第二次大戦時にあまたある武勇伝だが、特にこの話は涙が止まらない。戦闘のお陰で今の我々日本人が平和を享受している。
ところでM君の趣味は日本刀の収集という、強烈な日本人魂を持っている。写真仲間でもある。まず島に渡り祈り続ける両陛下にも尊崇の念を捧げる。