良寛と貞心尼

ふと思いついて、昔読んだ良寛さんの本を探してみたが、書棚には見つからない。10年前に大量処分したことを何度も悔やんでいるが、もう手遅れ。もう一度読みたいのは、良寛さんと貞心尼の間の相聞歌にひとり涙した部分。「切なさ」という美学の極地。そこに憧れを持つのは日本人だけかも。英語では”Bittersweet”くらいしか見つからない。

さて、良寛はどこかの寺に入ったという記録はないが、曹洞宗の僧侶である。おそらく「禅」について調べていて、行きついた人物が良寛だったように思う。彼の最晩年の4年間(良寛74歳没)、彼を支え、最後を看取った貞心尼のいわばラブストーリー本であった。

写真は柏崎ではなく新潟市中心部の夜景

ふたりの相聞歌集を収録した「蓮の露(はちすのつゆ)」は現在、柏崎市立図書館が所蔵している。http://sophia.city.kashiwazaki.niigata.jp/siraberu/teisinni/hisseki/hasu.htmより以下に抜粋転載した。

貞心尼: 「君にかく あい見ることの 嬉しさも まだ覚めやらぬ 夢かとぞ思ふ」 (あなたにこうしてお会いできた嬉しさは、まだ覚めない夢の中にいるようです)

良寛: 「夢の世に かつまどろみて 夢をまた 語るも夢も それがまにまに」 (夢のようなこの世で、まどろみながら夢を語り合う。それもまた夢、すべては成るがままに)

「師つねに、手まりを、もてあそび給う、と、ききて奉るとて、貞心尼」
「 これぞこの、仏の道に、あそびつつ
つくやつきせぬ、みのりなるらん」

良寛と貞心尼の年齢差は40歳。江戸時代末期のこの歌が、くたびれた僕のハートには鮮度抜群であった。

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