20年の歴史を誇る写真クラブ展。クラブのリーダーI.Kさんは我が社の恩人だ。写真の世界にはカメラマンだけでなく、プリントを専門で仕上げる「プリンター」という職種がある。彼は写真業界で名の通ったプリンターとして一時代を築いた。その彼がカメラを持つと実に味のある写真を撮る。
会場で彼の作品を一目すれば、何かを画面から感じようとしても煙に巻かれるだろう。つまり徹底した「無私」の表現。
(テーマは何?)
そんな浅薄な見方を拒否しているようでもある。あえて自分の眼の焦点をぼかしながら見つめ続けると、モノトーンの画面からはデッサンのような線が刻まれていることに気付く。
ご本人に訊いたわけではないが、彼にとっては、アナログ・プリントへの「惜別」こそが隠れたテーマかも知れない。

写真は会友のT.T氏の作