ほろ苦い黒ゴマラテ

このラテが美味しかったという話ではない。たまたま近江八幡で立ち寄ったカフェ。若い女性オーナーが経営する活気のある店だった。着席してしばらくすると背中を丸めた老男性が2名。もう帰り支度をしているというのに、一向に動かない。それもそのはず。我々が入店したため手を取られ、オーナーは足の不自由な老男性を店外までガイドできなくなったわけだ。この時間、他の客2名も老男性で、カウンター席で読書をしている。注意深く見ているとわかる。彼らは全くページを繰る気配がない。そこで僕は理解した。この男たちは美人オーナーに会いに来るのが目的なのだろうと。ほろ苦い青春期を再び味わっているのだ。

外では施設からの迎えのクルマを待つ老人が2人。

そういえば我々も老人だった。

© 2026 阿部写真舘 公式:1936年創業の花と光に包まれたフォトスタジオ