先生との出会いは28年前。あの頃、彼女はいつも鳴門の自宅から徳島駅前まで自転車で通っていた。不釣り合いなほどの白塗りメイクに、キャンディー・キャンディーに着せるようなコスチューム姿。白のハイソックスからフリルの付いたバンダナまで完璧に決めていた。職業は占い師。一度占ってもらった。すると数年先の事業の成功を予感させる一言をいただいた。「たくさんのお客さんの笑い声が聴こえます」。そんなアドバイスだった。そして「今あなたが悩んでいることが見えます。ニーチェの本を読んであげるから、来週からここへ通ってきなさい」(次回に続く)