「青のシリーズ」より一点ご紹介します。
孝二さんは、気分が晴れると猛然と画を書き始め、一日一点のペースで作品を生み出した。まるでたまったものを吐き出すかのように徹夜で描き通した。この青の時代の作品はことさらにブルーの発色に執着していた。ブルーの画材を使う前にキャンバス下地に赤を執拗に塗り込んだ。
本人曰く「こうしなければ本物の青にならない」
「僕は日本のゴッホになりたい」
そう日頃から語っていた。生涯一万点は達成できなかったが、その制作スピードといい、たぐいまれな記憶力。
そしてコーヒーを愛した。ブレンドのベースは決まってモカマタリ。一杯分につき12粒。きちんと数えた。