「祖父」
ここは88年ほど前、阿部写真館創業者、義貞が写真を学んだ地。山間の行商をしながら勉学の費用を自力で賄い、写真の腕が上がると、訪問する家々で趣味の記念写真を写して回った。非常に評判が良く品物と同時に写真もよく売れた。その後郷里徳島に帰り北窓採光の本格的スタジオを設けた。折しもシナ事変が勃発し、出征兵士を送る写真の注文でスタジオは潤った。写真がまだ専門家でなければ扱えない時代である。今で言えばインターネット情報技術に似ている。写真技術は先端であった。現代ではメディアは紙からディスプレイに置き換わったが、我々のやるべき事は変わらない。