川上弘美「蛇を踏む」

1996年の芥川賞受賞作品。ファンタジーでもシリアスものでもない。まったく新たな小説世界を描ける素晴らしい作家です。女性の柔らかな感受性、想像力に完敗です。以下、著者のあとがきから引用しました。

写真は新潮社より

小さい ころ から「 うそ」 の 国 で しばしば 遊ん で き た ので、 あんまり 他 の 遊び 場所 を 知り ませ ん。 もしも「 うそ なんて、 だめ よ」 と 禁止 さ れ たら、 からだ を こわし て しまう かも しれ ませ ん。 遊ば なきゃ、 からだ も 気持ち も、 へん になり ます。   テニス も せ ず、 ヨガ も せ ず、 オートキャンプ にも 行か ず、 さか あがり も でき ず、 たいがい の 空い て いる 時間 は「 うそ」 の 国 で 遊び ほうけ て いる わけ で、 客観的 に 見 て、 健康的 な 生活 とは いい がたい です。 でも、 これ で ずっと 育っ て き て しまっ た の だ から、 しかた が あり ませ ん。

川上 弘美. 蛇を踏む (文春文庫) (Kindle の位置No.1620-1624). 文藝春秋. Kindle 版.

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