ホテル業界

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新神戸クラウンプラザホテルの前身は、神戸オリエンタルホテル。神戸の老舗ホテルであった。
経営が立ち行かなくなりダイエーグループに身売りした。
そのダイエーも倒産し現在は、外資系インターコンチネンタルホテルズの傘下に入った。
ホテルの設立当初は200億円を超える資本を投入。しかし回収できないままオーナーが点々とする。徐々に買収金額は下がり、結局現在の資本家に落ち着く。コンチネンタルグループの買収額は聞いていないが、おそらく設立当初の出資の1/10だろうと想像される。
もともとホテルは投下資金の回収に25年以上、50年償却もあると聞く。
一般化したとは言え、ホテルの発祥は貴族階級のためのものであり、相当の資産を長期にわたって保有出来なければオーナーになれない。

そこで働くホテルマン達は素敵だ。厳しくも美しい美学をもっている。我こそ最高のサービスマンとの自負を持って日々活躍している。あるとき宴会前のドンデンで忙しく立ち働く宴会スタッフのある光景に出くわした。

その場面というのは10人掛けの円形テーブルを前にして、今しがたテーブルセッティング作業を終わって、蝶ネクタイの彼女が手を止めた瞬間だった。

「ああ...美しい!サイコー!」

(写真はJRホテルクレメント徳島のHPから拝借しました)

彼女のキャリアは10年を超えているはず。そこにはメジャーで測ったかのように整然とシルバーのナイフ・フォークが並ぶ。合わせて11本。アイボリーのテーブルクロスによく映える。このテーブルを担当する彼女が、みとれるように眺めて一言呟いたのだ。

テーブルセッティングへの思い入れを見せつけられた瞬間だった。

この一言を発するために彼ら彼女たちは、ときに深夜まで働く。

シルバーのナイフ・フォークは、彼女とは別の専任磨き担当者がいる。一本でも失くしたら始末書では済まない。みな真剣だ。

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