五木寛之著「親鸞(下巻)」-2-

私は浄土真宗に帰依、帰命しているわけではない。念仏も御詠歌も分からないが、宗教はわれわれ俗人にも感じる力を養ってくれる大切なもの。

ところで親鸞は5度も名前を変えている。一度目は幼名の「忠範」から「範宴」に、そして法然と出会い「綽空」に、さらに法然から与えられた「善信」、ついには自ら「親鸞」と名乗るようになる。その親鸞と名乗って都落ちする物語のハイライトを抜粋した。ヤマ場は最愛の妻「恵信」を伴って越後に赴くシーンです。

以下その物語で一番好きな部分をKindle版より転載しました。

法螺 房 は、 片手 を 法螺貝 にかけて、 あたり に 響きわたる 声 で いっ た。 「よーく 聞け!   みな が となえ て いる のは、 南無阿弥陀仏、 では ない ぞ」 「なん だ と」 「さあ、 耳 を すませ て よく 聞く が よい。 あみ、 だ ん ぶ、 なも、 あみ、 だ ん ぶ、 なも、 と となえ て おる。 南無阿弥陀仏 は 禁制 でも、 あみ、 だ ん ぶ、 なも、 を 停止 する とは、 高札 にも 一行 も 書い て い ない。 さあ、 みな 遠慮なく 声 を あげる が よい。 それ!   あみ、 だ ん ぶ、 なも、 あみ、 だ ん ぶ、 なも、 じゃ」

五木寛之. 超合本 親鸞(しんらん) 第一部・激動篇・完結篇 【五木寛之ノベリスク】 (講談社文庫) (Kindle の位置No.10806-10813). 講談社. Kindle 版.

西本願寺HPより

流罪にされるなど、激動を乗り越えた親鸞聖人の浄土真宗が、現在「お東さん」、「お西さん」と呼ばれて分かれてしまったのかは、また別項で。

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