肖像写真製作にも目標がある。お客様の顔立ちを光と影を使い、顔の角度を見計りながら、最適のカメラアングルを探す。ではどんなアングルを探しているのだろう。それはまさしく瓜実顔(うりざねがお)。この表現は死語になってるだろうか。<卵型>と言った方が通じるかもしれない。エラが張って角ばった人、ぽっちゃり丸顔、細面、しもぶくれ。その特徴は千差万別。時代によっても好まれる顔立ちは変わる。
これらをまとめ上げると「顔相学」という分類学が成立かもしれない。いまだにまとめ上げられたわけではないが、新人教育の場面ではこの研究は外せない重要課題。
さてここに「弥勒菩薩半跏思惟像」を掲げたのには訳がある。我々が目指すのはこの慈しみの表情を撮ること。そしてこんな顔立ちに似せて人を撮ること。
お客様の顔立ちをすべて弥勒菩薩のような輪郭、立体感、表情などに近づけるように光を当てたり、角度・配置を決める。そしてカメラに収める。しかし現実は厳しい。無理がある。家族全員、お一人お一人は別の顔。人によって最適な光、角度が違う。一人ずつバラバラな角度で立たせそれぞれ別のライトを当てることになる。ありえないことだがいずれ挑戦してみよう。