なにもないそれ

若い頃から「人はなぜ生まれ死ぬのか?」、「人生の意味は?」などと自分に問いかけ、人の言葉や書籍の中の名文を捜し歩く。だが少しづつ日々に追われ、自分が求めていた問いかけからも遠のいていく。

「深い話をしよう」などと友人に問いかけても、

「そんな話は酒の席で」と逃げられる。

土野正義、山川あずさ共著「ただ在る」

20年ほど前に勧められるままに瞑想会に参加するうちに、少しずつ自分の感覚が軽くなっていった。

結局は「なにもない」んだな。そう気付くのに50年を要した。

そして出会ったこの書籍。ここで展開される「なにもないそれ」。「それでも、いまここにある」ことが腑に落ちるまでに、さらに時間を要した。そしていまだに修行中である。

「悟りを得た」などと言うのではない。例えるなら、「眠りに落ちたわけでもないのに、不安や心配事から解き放たれる瞬間」。これこそが「ただ在る」ことであり、真実の我(真我)を体験している事になのだろう。その感覚をずっと味わい続けたいものだ。

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