背中を感じる

顧客の注文でポートレートを撮る場面で、普通は後ろ向きなど撮らない。しかし最近は動画的なカメラワークが当たり前になっているので当然、背中も写しておこう、となる。要は部分と全体の両方を狙う。その繰り返し。モデルの360°が撮影対象になる。

作例①から作者自身が感じたことをあえて言葉にすると、「彼女は信頼できる人を後ろに感じながら、人差し指でなにかを指し示している」。どこを指しているのだろう。それは関係ない。撮られる喜びと照れから思わず出た動作だろう。全体の印象として身体から初々しさを発している。指先の動きは彼女なりの表現。それが個性だ。さて彼女はこちらの思いに、同意してくれるだろうか。

作例➁は、これも信頼できる誰かを背中に感じて、その喜びを背中で無意識に表現している。これらバックシルエットに僕は引き込まれた。正面からの写真より背中に真実があるような。それとも「背中に恋をした」のだろうか。

背中は飾ることができない。だから嘘をつかない。

彼女の背中がいろいろ語ってくれたが、触れると一瞬で壊れてしまいそうな、はかなさを感じる。だから触れてはいけない。彼女の背中を写真にするだけで欲を出さない。それがカメラを向ける者としての矜持だろう。

作例① こんな色の海があってもいい

作例➁ 優しい波打ち際に柔らかな太陽

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