この表紙写真とタイトルが素敵です。自費出版本「陽炎」山下容佑著
作者は徳島在住。私に数々の助言をくださる大先輩です。学者を圧倒するような深い歴史理解と皇室への尊厳は誰もかないません。この歌集がアマゾンを通じてアジア各国で売れているようです。日本語を学ぶ教科書にもなるらしい。著作は3冊と記憶しているが、平成26年出版の2作目「国の姿」も受け取って圧倒されました。
作中の短歌の一部をご紹介します。本来縦書きが基本ですがここではお許しください。
「国の姿」は12の項があり、その中から「神道」について詠まれた一作です。
神道は親が子を産み孫が出来
生命は永久に続き往くなり
全490ページにぎっしりと歌が詠まれており、後半は初代・神武天皇から125代・今上天皇までを即位順に紹介し、当時の歴史的出来事から社会事象までを歌っておられます。
生涯を費やして研究されたのでしょう。これは宮内庁よりも詳しいのではと思い至ります。
深い時代考証に時間を費やし、忠実な再現がなされており、学校の教科書よりも詳しいのではないかと感じました。
見たことのない漢字が並んでおり、読み通すのは大変なものです。
「南北朝」の項からもう二作ご紹介します。
京都には神器なきまま北の朝
神器を持ちて吉野朝廷
漸くに後小松帝で合意なり
神器は北へ元の姿に
これを読むだけで知らなかった当時の状況が伝わってきます。歴史全般はもとより、歴代の天皇家を調べる辞書にもはずです。