厳寒の隠岐島

境港から隠岐島に向かったのは1976年。冬の荒れ狂う海に漕ぎ出す100tほどの定期船。想像を超えるひどい船旅だった。乗船は3時間以上。隠岐島本島の西郷港に着くころには船底キャビンの全員がぐったりとしていた。いや倒れていたと言って良い惨状。青白い表情のまま無口で、あたりは汚物だらけ。まるで木の葉のように揺れる船室で、乗船客は掴まるところもなく体が本当に宙を舞った。僕は客室に入らずデッキで寒風を浴び続けていたので船酔いはしなかった。船員から危険だから客室に戻るよう指示されても言うことを聞かなかった。いや聞けなかった。あまりの惨状に。

手すりには雪が積もる。舳先には凍るほどの冷たい波しぶきが

隠岐島に近づく頃には波が少し穏やかになった

隠岐西郷港

隠岐島の先に竹島がある。地図上の表記は「隠岐群島」となっている。

© 2024 阿部写真館 徳島本店,大阪本町靭公園前店,茨城プレイアトレ土浦店