”サンク”との付き合いは意外と短かった。雨が降ると運転中の僕の左ひざにポツンと雫が落ちる。ドアパッキンの不良からだった。走行中にマフラーが落ちたり、ガソリン残量メーターが壊れガス欠を起こしたり。
それでも許せた。好きな紺色で左ハンドルが気に入っていた。その後”ルーテシア”に乗り換えコンパクトカー街道まっしぐら。一度も高級車とは縁がなかった。あくまで撮影機材を載せられるかどうかが必須条件だった。
そして日々、車への興味も願望も次第に遠ざかっていく。その気持ちと入れ替わるようにEV車が表舞台に登場する。近い将来、車は空を飛んでいるのだろう。