恐るべしiPhone11proから見える世界
いま発売されているこの新機種は、今まで撮れなかった超広角(例えば二人で自撮り)が楽々。腹が立つほどの出来上がり。本体に組み込まれるカメラはもちろんSONY製。最先端のHDR機能を使えば夜間も逆光もなんのその。プロレベルで綺麗に撮れる。
ビデオ性能も4K_60Pとプロ並みだ。
カメラ搭載のスマホが世に出て10年、コンパクトデジカメの市場規模は見事に1/10になってしまった。もうこれは絶滅危惧種入り。では即買いかと言えばためらいもある。我々の写真、位置情報が陰で激しい争奪競争の餌食になろうとしているからだ。
AI技術の進化でいまG.A.F.A.( Google.Amazon.FaceBook.Apple)がネット上でバラまかれている写真や動画の全てを競い合ってかき集めているのだ。各社写真の保存は無料でクラウドを解放している。私も2004年から利用している。預けている枚数は10万枚を超える。タダほど怖いものはない。全ての地球人の個人情報、つまり移動、消費行動、趣味趣向を網羅したビッグデータを支配し、全ての情報の頂点になろうと巨大企業は目論む。では情報の集約が進んだ社会はどんなものになるか考えてみた。70億人全てを情報支配出来ることになると、近い将来こんな生活が待ち受けているかもしれない。
……………….「ある晩のこと」……………..
僕の行動は全てGoogleにバレている。でも便利だから許せる。
(いま自宅に帰ってきたけど、冷蔵庫には何も入っていないな)
それにしても僕のスマホの位置情報把握機能は親切だ。
そう思った途端、スマホに"Uber Eats"からの売り込みが入る。僕の好みはすでに把握されているから、一番にイタリアンメニューだ。
(しばらくイタリアン食べてないなあ。誰か誘ってレストランに行こうか)
そう思ってスマホをいじる。電話帳を開く。相手先の情報を開くだけで、二人にとって都合のいい場所のオススメのレストラン広告が表示される。
(いや、やっぱり残業仕事持ち帰ってるから、出かけるのは面倒だな)
そう思っていると、きょう扱ったドキュメントファイルデータがスマホに現れる。
(このファイルを今夜仕上げるべきかスマホが僕に聞いてくる)
この催促に思い悩んでいると、"SIRI"が話しかけてくる。
(明日の予定です。スマホはカレンダー画面に切り替わる)
そして、
(今夜8時からW杯ラグビーの試合があります。録画しますか?)
そう!じゃあ頼む。するとリンク家電のテレビが録画予約してくれた。
なんというタイミングだ。友達から電話がかかってきた。
(これは僕の電話帳検索がきっちり掴まれているんだ。"FaceBook"の仕業だろう)
「明日一杯飲みに行こう」
そう約束した。
そうこうするうちにスマホに妻との思い出アルバムが出てくる。
(明日は奥様との結婚記念日です)
と教えてくれた。
(もう別々の生活になって何年だろう)
互いに忙しくて夫婦別居した。もう何年だろう。
でもこれはまずい。明日の約束は延期しよう。
すると、スマホはさっそく花屋さんのオーダーシートを開く…
(余計なお世話だな)
(やっぱりUberにピザとパスタを注文しよう)
……………………………………………..
これらネット企業が集めた顔写真をデータベース化し、それが監視カメラメーカーによって政府に提供されると、これは想像を絶する監視社会となる。顔認識技術はハンパでない。かの国ではすでに実現している。運営する会社は全て営利企業であるから、ビッグデータを売らないという保証はない。いつ流出してもおかしくない世の中だ。当初は犯罪抑止という触れ込みで導入され、 ついには戦争抑止力などと話が大きくなっていく。電話もネット家電も使わないように気を付けていても、町の監視カメラを避けることはできない。
これらすべてが完成した社会とは自滅社会であろう。すべてバラ色に近未来を想像すれば、〈戦争も犯罪もない社会の到来〉といえるだろうか。
そもそも人間存在の根底から考え直さねばならない。いっそ各人の脳細胞に国支給のマイクロチップを埋め込み、心の中の〈存在悪〉の部分を書き換えたら良いのでは。パスワードも必要ないし、殺人もイジメも離婚も無くなるではないか。
でも一体誰が影の支配者なのか空恐ろしい。まるでC.I.A.モノの映画のようだ。来るべきA.I.(人工知能)が支配する社会のなんと窮屈なことか。実際上アメリカも日本も出資規制法でG.A.F.A.などの先端巨大企業の合併や子会社化を防いでいるが、かの国にはそんな法律は適用されない国策会社ばかり。
AIと人間の最終戦争もあり得る。スタンリー・キューブリックの作品『2001年宇宙の旅』で、宇宙船を制御するA.I.操縦ロボット”HARU”がついには乗組員を抹殺しようと動き出す。こんな映画が1968年に公開された。ユダヤ人の両親を持つ彼の天才ぶりは尋常でない。預言は外れてほしい。
スタンリー・キューブリック(WiKiより転載)→
もうすぐ朝日が昇る。遠くに見えるのは沼島(兵庫県)