近藤孝二氏遺作 -3-

「苦しみの果てに」

画伯は僕の師であり、友人として20数年、共に語り合った。中でも一番のテーマは「時間と存在」。あまりに広範なテーマであり、いつも深夜まで言葉を使って格闘した。

彼の立場は洋画家イコール「絶対無」信奉者とまでは言えないが、虚無主義的であった。当時の僕としては議論が煮詰まると、最終的に「存在の不可思議」に逃げ込んだが、どちらもそれを証明することが出来なかった。

そこまで行き着くと「一切は空」とか「悟り」と言えば、議論にはピリオドを打てるが、話は堂々巡りだ。

彼は絵画と格闘しながら、60歳で亡くなった。

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