カリール・ジブラン著「 預言者」より

あなたの子供は、あなたの子供ではない

彼等は人生そのものの息子であり娘である

彼等はあなたとともにいるが

あなたに屈しない

あなたは彼等に愛情をあたえてもいいが

あなたの考えを与えてはいけない

何故なら彼等の心は、あなたが訪ねてみることもできない

夢の中で尋ねてみることもできない明日の家に住んでいるからだ

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死ぬとは風のなかに裸で立ち

太陽のなかに溶け込むこと

休みなく打ち寄せていた呼吸の波からの解放だ

呼吸は誰にも邪魔されることなく空へと昇り拡大し

神を探し求めにいけるのだ

沈黙の川の水を飲んだときのみ

あなたはこころから歌う

山の頂上にたどり着いてこそ

真に登りはじめることができる

そして身体が大地に還ったときにはじめて

あなたは真に踊るのだ

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プラハ聖ニコラス教会

私の尊敬する先輩からいただいたカール・ヒルティ著 「幸福論」を読んでいたらジブランの詩に出くわした。なかなか唸らせる名文が並んでいるので調べてみると、レバノンの詩人カリール・ジブラン(ハリール・ジブラーン)の著書「預言者」からの言葉でした。詩人であり、画家・彫刻家としても有名。(1883〜1931年)。彼の一番の名文(詩)をご紹介すると、

仕事とは『愛』を

目に見える形に表現することである

さて前述のヒルティの「幸福論」ですが、やはり100年前の著述です。著者はアングロサクソンに象徴されるパイオニア精神、挑戦的なものの考え方を持っているようです。クリスチャンの安息と向き合う(心の休息=バカンスのために働く論理)ことの重要性を説いている。

リアリストの概念が著者の生きた時代にはなかったが、本日只今に生きようと鼓舞する側面があるところは先進的です。しかし階級意識から逃れられない、宗教的価値観の平和主義者が、自主独立の消えゆくさまを嘆いているところが面白い。

なのでこの本はキリスト教の分派の過程を見せてくれるのです。例えばストア主義学派は儒教的価値観に近いものを持っているんだ、そう気づかせてくれました。

さらにはユダヤ的七つの習慣の匂いもあり、理性を最重要と説いている。

はたまた「眼に映るものは現実でなく、空想に過ぎない」ことを知っているところも不思議。滅びの美学を知っているということですね。ここは気取って日本人の心「一切は空」だよと教えてあげたいところ。以下は私の読書メモです。

▪︎形而上的な思考。自我との戦い。それは神の存在から発生するものだ。

▪︎本来汚れている人間。しかし、死刑廃止を説く矛盾。

▪︎倫理的世界秩序を理念とする事を信仰であるとする矛盾。

▪︎愛と憎しみの対立軸から逃れられない宿命。

▪︎いま手元にある幸福を感じることに苦労している。

▪︎青い花を探し求めるが、永遠に手に入らない。

しかし最後には全て霊的なものとして判断しようとしている。つまり信仰しようと決心した。そして契約した。これがアングロ・サクソンのお決まりです。

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