チママンダの著作を読んで、僕は座っていた椅子から転げ落ちそうになりました。その文脈からはアメリカ移住者の苦悩も多民族間の問題も吹き飛ばすパワーを感じた。彼女の余裕を感じさせるユーモアも傑出している。日本文学界の矮小さを存分に思い知らされたことを告白する。
ナイジェリア出身の彼女は2003年にオー・ヘンリー賞を受賞している。しなやかな知性と共感の広がりは、30以上の国々で翻訳出版されていることでわかる。
同国地域は過去数千年の間、王国や多部族国家として繁栄してきた。2億人の人口を抱え、アフリカ最大の国家規模。また同国を支配したポルトガルによる奴隷売買の歴史は300年に及んだ。
チママンダはイボ人出身。母国の植民地時代の苦悩から多民族国家の直面する多くの問題も飲み込むアフリカ人の視点は、新たな世界のリーダーとしての資質も併せ持っている。