「戦艦大和ノ最後」(1952年版、原作;吉田満著)には、大和乗組員としての実録が記されている。これは戦後GHQの検閲組織CCDによって全文削除され、幾度もの改稿、口語訳を経て1974年に現在の内容になったものとされている。ここに描かれた史実をもとに多くの書籍が刊行されており、歴史的名著であることには変わりない。
同著の1952年版には三島由紀夫が推薦文を贈っている。以下斜体部分はWIKIより抜粋です。
感動した。日本人のテルモピレーの戦を目のあたりに見るやうである。
いかなる盲信にもせよ、原始的信仰にもせよ、戦艦大和は、拠つて以て人が死に得るところの一個の古い徳目、一個の偉大な道徳的規範の象徴である。その滅亡は、一つの信仰の死である。この死を前に、戦死者たちは生の平等な条件と完全な規範の秩序の中に置かれ、かれらの青春ははからずも「絶対」に直面する。この美しさは否定しえない。ある世代は別なものの中にこれを求めたが、作者の世代は戦争の中にそれを求めただけの相違である。 — 三島由紀夫「一読者として」
この一文をを目の当たりにして、戦前戦中派の死生観に僕は絶句した。